私の掌の歴史(4)

気に入って使っていたPilot1000ですが、冷えると暴走するのはちょっと気になっていました。
電気系の仕事をしているので、分解して怪しそうなところをはんだゴテで当たったりもしてみたんですけど。
まぁ冬になるまでは気にしなくても済んだのですけどね。
まぁそんなことを頭に残しつつWebを見ていると、店頭展示品だったPalmPilotProfessionalを2万で売っていたのです。
えーと。買うか買わないか悩んだのはオーダーの連絡をしてからでした。(笑)
店頭展示品とは言えその店はとてもPalmを実際に触らせる形で置いておくとは思えなかったのがひとつ。
これから真冬になってPilotのトラブルが心配。特にスキーに行こうとしていた矢先なので、よけいに気になっていたのがひとつ。
展示品とは言うものの2万は安い。というのがひとつ。

三つもあれば十分じゃない。(笑)
届いたPalmは思ったより美品で、液晶保護のフィルムも貼られたままの状態でした。
さっそくデータの移行。当時のHotSyncは標準アプリのデータくらいしかSyncせず、後から入れたアプリケーションやデータのバックアップを取ってはくれないので、データバックアップ用のアプリを入れて全データをMacに吸い出しました。
で、新しいPalmにも同じアプリをHotSyncでインストールして、吸い出した全てのファイルをそのまま転送。
って何故か画面が真っ白に。
リセットしても起動画面がフラッシュするだけ。うーん。
しばらく考えた後にPalmPilotはそれまでのPilotよりOSのバージョンが上がっている事を思い出した。
それまではOS1、新しいのはOS2。
それだけだとあまり問題はないのだけど、OSのバージョンアップ用のパッチファイルを入れていたのでした。元がOS1用のファイルなのでOS2に入れてうまく動くはずがない。
いったんハードリセットしてパッチ用のファイルを除いた物を転送。でも実はリセット時に上ボタンを押しておけばパッチなどを無視して起動するので、その後にパッチファイルだけ消去してやれば良かったのでした。
混乱して焦っている頭にそんなことは思い浮かぶはずもないし。

転送が終わってこれでOK。J-OSはすでに対応の物を入れていたので、特に問題なし。他にうまく動かないHackとかアプリがあったけど、同等の機能を持つ別のアプリとかと入れ替えることで今までとほぼ同じ状態に復帰。
Pilotの方は、すぐに全データを消しちゃうと何か起きたときに困るので、しばらくは一緒に持って予備として使うことにした。

CPUの性能とかは変わらないはずなんだけど、OSが変わったせいか、ハード的に変わった部分があるのか、ちょっと動作が軽くなったような気がする。
あと大きな違いが一つ。
バックライトが点くようになったのだ。電源ボタンをしばらく押していると液晶面全体が淡い緑に光ってくれたのです。
中途半端に明るい所じゃ見づらかったり、Graffitiエリアは暗いままなので、入力は無理だったりしましたが、薄暗い中でもやーっと光るバックライトを眺めたりしてました。
液晶を真っ黒/真っ白に高速で切り替えることで、画面全体を蛍のように光らせるアプリケーションがあったので、それを入れてまたぼーっと。(笑)


確かメーリングリストだと思ったのですが、Palm関係の物の受け渡しを新横浜のラーメン博物館内で行うから、来られる方は話でもしませんか?ってのが流れて来たのです。

私にとって初めてのPalmユーザのオフ会でした。

その場で知り合った方々と、その後良く会うようになったのですが、ちょうどPalmIIIが出た辺りで、"赤外線による名刺交換"が出来るようになったのです。
Palmユーザ同士が会うようになって、コミュニティが出来始めたところだったので、ビーム交換から始まるオフ会なんかは、ただ挨拶するより親密になれたような気がします。

だって、どれだけの人数が集まってもビームを飛ばす間は1対1で顔を合わせるわけですし、その会った相手の情報が自分のPalmに残るのですから。


しかしそんなビーム交換も私のPalmPilotでは行うことが出来ませんでした。
当たり前なのですが赤外線通信が出来なかったからです。
他の人達がビーム交換をしているのを指をくわえて眺め、私とビーム交換しようとした人にはPalmPilotを見せて残念そうに笑うしかなかったのです。
そんな悲しく悔しい思いは、Palm社からのアップグレードカードですぐに解消されました。
OSアップデートを主に行うためのメモリカードに、なんと赤外線通信ユニットを載せて来たのです。
そのままでは赤外線ユニットが出っ張るので、少し盛り上がった赤外線窓の付いたメモリ蓋までついてきたのです。

しかもこのカードは、初代のPilot1000に挿すことで、当時最新のPalmIIIと同じ状態にすることが出来たのです。バックライト以外は。

自分のPalmが赤外線通信が出来るようになった事を喜ぶ他に、ユーザを大切にするPalm社の姿勢を見たような気がしたものです。


晴れてビーム交換が出来るようになったのですが、同時にちょっと困ることも起きたのです。
アップグレードカードを挿したPalm同士、またはPalmIII同士のビームは問題なく出来るのですが、アップグレードカードとPalmIIIの間のビームがどうもうまく出来なかったのです。
向きを変えたり、手で覆って外からの光を遮ったりして色々苦労したものです。

自分なりに色々試して考えた結果、アップグレードカード側の赤外線送受信の強度がPalmIIIと違うために、旨く通信が出来なかったのではないかという結論になりました。
まぁ、理屈なんかはどうでも良くて、ビームに苦労しながらそんな説明を相手と話せるのもまた楽しかったものです。

02.11.28