私の掌の歴史(1)

あらかじめマニュアルは目を通していたので、Pilotの文字入力が通常の文字認識ではなく、Graffitiと言う特殊なストロークで入力する事は判っていました。
ともかく練習だと思い、ひたすら文字入力。とは言ってもアルファベットの部分を一筆書きで表すストロークなので、覚えること自体はそれほど難しいとは感じなかったのです。
なぐり書きに近いスピードでも、認識が追いつかないと言うことはありませんし。入力ミスはそれなりにありますけどね。それでも認識ミスにいらいらするよりは気持ちが楽です。
アルファベット、数字はあっさり覚えたのだけど、記号がさっぱり。良く使う数個は大丈夫なのだけど、たまにしか使わない物は、やはり全然覚えられません。
そんな人のためにちゃんと記号のストロークが書かれたシールが付いてました。カンニングペーパーですね。
今でも欲しくなるときがたまにあります。

単体でしばらく遊んだ後に、Macとのデータの同期、アプリケーションやファイルのインストールを行いました。
当時私が使っていたのがPowerBook180。68kとしてはそれほど遅くは無いのですが、強力って程ではありません。
しかしアプリケーションの起動が恐ろしく遅い。かなり待った後にようやく画面表示。データ編集とかはまぁまぁできるのですが、積極的に使いたいと思うものではありませんでした。残念ながら。
基本的にデータのバックアップが出来れば良かったので、そのこと自体はあまり問題になりませんでした。

それよりはデータ同期(HotSync)の時にMac側のプログラム起動が遅くて、Pilot側がエラーになってしまうのが辛かった。
当時日本語でPilotの情報がある場所はほとんど無くて、NiftyのFENOTEにあったPilotの会議室から情報を拾ってきたり。
起動が遅くてエラーになってしまう問題の対策は、Pilot側でHotSyncボタンを押す前に画面右上をつつくとPilot側でタイムアウトにならないという隠しオプションを使うことで対応。なんとかデータの同期が行えるようになりました。
(ちなみに今のOS4で同じことをやってみたら、ちゃんと同じオプションが生きていた。さすが)


データのやりとりが出来るようになったので、ようやく日本語化の作業に取りかかることが出来ました。
今はJ-OSという名前になっているけど、まだ当時はJSuiteという名前で、日本語表示と単文節入力が出来るだけのもの。とは言ってもそれだけ出来れば十分です。
Hackという機能拡張によって日本語化を行うので、Hackを使用可能にするアプリケーションも一緒にインストール。
ファイルをインストールしたいだけなのに、予定表の同期とか全部通過するのは少し面倒ですね。
ともかくも必要なファイルをすべてPilotに入れて、Hackを有効に。入力用のウィンドウを出して入力をしてみるとちゃんとひらがなが表示されました。
単語を入れてスペースで変換。ちゃんと漢字になります。
スペースの代わりに'+'を入力するとカタカナに、バックスラッシュを入力するとアルファベットのままになります。
変換の効率が低い代わりに、人が手伝ってあげることで快適にしようってことですね。Pilotの考え方と近い感じです。
面倒って感じはあまりしませんでしたね。もともと入力するときにどう変換するかは考えているわけですし。結局漢字変換を行うときに一旦手は止まっているのだからそれほどの手間でもないし。

日本語化が完了したところで、ひとまずは普通に使えるようになりました。
ちょっと無骨だけど小さな相棒の誕生です。